筋肉少女帯 / 月光蟲

《 ハゲ速報 》
今日、ハゲはいなかった。おしおき中だったか・・・？

夕方、店の前を通ったら、ハゲは外に出ていた。
シャッターの改修中のようで、ハゲは業者と共に立っていた。
いつもの直立で、手を前に組んで立っていた。

そこで気づいた。あのハゲは置物だったのだ！






《 本日の1枚 》
あえて言おう、

「名作である」と。

筋肉少女帯の「月光蟲」
大槻ケンヂの怪奇・猟奇趣味が最高潮に達した
最高傑作。
「サーカス団　パノラマ島に帰る」
も捨てがたいが、コレを推す。

圧巻は歌詞世界。
ダークで暗黒で絶望的で退廃的で、
尚且つ病的に美しく、狂気を孕む。

まずは1曲目の「風車男ルリヲ」でぶっ飛んだ。
今回はあえて歌詞を書く。



「風車男ルリヲ」歌詞：大槻ケンヂ　曲：大槻ケンヂ＆筋肉少女帯

（アコギで弾き語り風）
人と雲の行く果ては何処だろう
悩み多きものの行く果ては
パノラマの島のあの上にある
月の裏のクレーターかもしれない
確かな事は分からないけれど
確かな事は分からないけれど
確かな事は分からないけれど
確かな事は分からないけれど
（タッタッタッタッタッタ～駆け寄る足音）
（ドスッ～刺す）
（「ウウ゛・・・～倒れるオーケン）

（イントロスタート）
楽しかったあの頃に君が戻れないのは
煌々と月の照るホスピタルの上で
観覧車みたいに巨大な風車を
グルグルと回すルリヲがいるから

風車を早く止めなさい
風車男を殺しに行きなさい
今すぐバスに飛び乗りなさい
ルリヲを殺しに行きなさい

待ち人が遂に現れないのも
それもやっぱりルリヲのせいで
老人の顔した赤ん坊を背中にしょって
「黄金虫は金持ちだ」と唄いながら風車を回す

風車を早く止めなさい
風車男を殺しに行きなさい
明日の風に吹かれる前に
ルリヲを殺しに行きなさい Oh

「ねえ君、
だけどルリヲは見つからないよ
聞いたんだよ 風車男には・・・












首がないんだよ」

「首がないんだ・・・」

ルリヲを探す旅に疲れ果てて
君はどこかのつまらない娘を恋して
「もしかしてこれが幸せ」と思う
バカだね、ルリヲの思うつぼさ

風車を早く止めなさい
風車男を殺しに行きなさい
冬が来る前に旅立ちなさい
ルリヲを殺しに行きなさい
ルリヲを殺しに行きなさい
ルリヲを殺しに行きなさい
いますぐ殺しに行きなさい
ルリヲを殺しに行きなさい Ah!

ルリヲ～！

　　　＊＊＊

どうだろう。
ホスピタルの上で巨大な風車を回す首の無い男、ルリヲ。
オレのイメージでは、
仁王立ちのルリヲが、頭上に掲げた巨大な風車を
両手で水平に回している。
満天の星空の下、首の無い男が仁王立ちで風車を回す。
その男に首が無いと知った絶望感！
その後の幸せの空虚さと無力感！

オレには、こんなにも強烈なビジュアルイメージを伴う曲は他にない。
しかもこの歌詞でゴリゴリのヘビメタなのだ。
歪みまくったツインギターが泣きまくるのだ。


言葉には力があるという。
言霊（ことだま）という言葉もある。
前向きな言葉を口にすることで成功を伴うともいう。

それならば
こんなにも絶望的で猟奇的で、幻想的な言葉がもたらすものは
なんだろう。

そもそもオレは、何故こんな歌詞を好むのだろう。
何故こんなに何回も「歌詞」という事場をうっているのに
いまだに「貸し」になるのか？
「言葉」とうったのに「事場」になるのか？
このWordはXPは壊れているのか？

　　　　　＊＊＊
オレは風車男を殺す決意をしたことがある。
殺す寸前までいった。
しかし殺さなかった。
殺さずとも、そこでルリヲが風車を回し、
また、ルリヲに首が無いことも分かったからだ。
要は、つまらない娘に恋をせず、
安易に「コレが幸せ」と思わなければよいのだ。
ならばルリヲがなんぼグルグル回しても、恐れるに足りない。
回しなさい、ルリヲ。

その風車は、いずれオレが自ら回す。