奇跡

「私たちがこの世に生まれてきたこと自体が奇跡です」
「存在こそ奇跡です」
「1人1人がチャンピオンです」

先ほどTVでやっていたが、詭弁だと思う。
TV放送は、精子が女性器の中に入ってからいかほどの難関を乗り越えて受精にたどり着くのかを、1精子を1人の人間が演じながら説明していた。

それはそれは一大スペクタクル、大冒険にして熾烈な生存競争である。
2億5000万匹の精子の中から1匹しか卵子にたどり着けないというから
押して知るべしであろう。

しかし、しかしよ、2億5000万分の1とは言ってもわずか0.1mmの世界の話だし、大体が現在の出生数は109万人もいるそうぢゃないの。
なんぼ少子化っていっても109万人も生まれているのよ。
対して人口は、1億2700万人。
1年365日に109万だから、1日に2986人生まれている。
1億2700万÷2986=約42000
Jericho在住の市は約48万人だから、この市でも毎日10人生まれている。

こんな小さい市で毎日10件発生する出来事が何で“奇跡”か？
それが奇跡ならオレの屁も奇跡だろ？

そのへんの小汚いホームレスの男女間で事を行なっても
2億5000万分の1は起こる。
小汚いホームレスの性のはけ口的に生を受けてもチャンピオンか？

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昨日の日曜日、2号の自転車が壊れたため直そうとしたが手に負えず、
しかたなくパーツを交換することにし、それを買いに出た。
ところが適正なサイズのモノが売っておらず、ホームセンターを3件もはしごする羽目になった。
当然還りは遅くなる。家に電話することにした。

「トゥルルル・・・」
「はい、もしもし。」

出たのは2号であった。
オレは出来心で喰らわしてやった。

「XX市警察の中山という者ですが・・・」
「・・・はい」

2号はわずかにこわばった。

「パルミジャーノさんですか？」
「はい。」
「Jerichoさんですか？」
「いいえ、子どもです。」
「Jerichoさんは何時に帰りますか？」
「わかりません。」

ややビビッている。

「あなた何才ですか？」
「10才です。」
「宿題は終わったのですか？」
「はい。」
「宿題が終わったらXX市警察に持ってこさせるようにJerichoさんから言われていますので、XX警察に持ってきてください。」
「・・・・・・・・」
「いいですか！？」
「・・・・・・・・」

硬直した。

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Jerichoさんは、
2億5000万分の1の奇跡をこの様にもてあそんでいます。

 
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