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確かに彼の血管には、常にディープ・パープルなスモークがたち込めていた。
細く入り組んだ血管の、5m先も伺えぬ紫煙の幕。
そして厚い煙幕を切り裂くような奔流。
ほとばしる激流は濁流となり紫の煙を巻き込んでいく。
悪魔のように黒く、天使のようにかぐわしい、地獄のように熱く、天国のように甘美な、アレよ、アレ。
珈琲よ。
***
彼はこの何十年、煙草と珈琲で生きてきた。
中毒に対し危機感を感じた彼は、かつて一度だけ〝断珈琲〟を行なった。
その結果、激しい、あまりに激しい頭痛によって頭蓋が炸裂し、高速道路走行中にもかかわらずあたり一面に脳漿をブチ撒けた。
それ以来、彼にとって珈琲を禁じることは死を意味するため、彼にとって〝珈琲〟は〝血液〟又は〝体液〟。
そして〝珈琲を飲む〟行為は〝輸血〟または〝点滴〟と同意、つまり〝医療行為〟となった。
中毒への危機は煙草に対しても同様であった。
やはり過去に一度だけ禁煙にチャレンジした。
禁煙開始から2日目が推移しようとしていたその時、突然彼の記憶は失われた。
彼が暗黒から目覚めた時、世間は騒然とした空気に覆われていた。
1997年5月。
世に言う〝神戸連続児童殺傷事件〟である。
あ、いや、コレは止めておこう…。
***
まぁ、いずれにしろそんな放浪の民Jerichoを、現実は厳しく襲ったのだよ。
はっきり言って金銭。
つまり、湯水の如く失われていく千円札に、堪らない恐怖感を覚えたのだ。
それまでポール・モールは280円だったから、500円で220円の釣りだった。
500円にわずか60円プラスすることで2個買えた。
この値上げで390円となったため、500円で戻るつり銭は110円
500円に60円を加えても釣りが170円になるだけで2個は買えない。
そこに200円追加したって、まだ2個目は買えない。
これは大きかった。
感覚的には、「500円で2個買えた」のが、「500円で1個しか買えない」のとほぼ同義である。
くどいが言い換える。
「2個買うためには500円必要」だったのが、「2個買うためには1000円札が必要」になったのだ。
それゆえ1000円札は一時期、面白いようにJerichoのポケットから飛んでいった。
あたかも羽根が生えているかのように。
これでは大好きなヘヴィ・メタルが聴けないし、映画も観られない。
ドミンゴやケリーたちと飯を食いに行くこともままならない。
まぁ、いつかは…と薄々思っていたから、それが今だというだけよね。
***
そんなワケで、Jerichoちゃんのコーヒー服用度が激上がりしております。
¬(  ̄▽ ̄;)Γ=3
