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今日の日曜洋画劇場は「ゼロの焦点」(2009年)
松本清張原作ゆえ、物語として面白いのは間違いが無いので張り切って観てみました。しかしDVDのジャケ、もう少し何とかならんかぁ~?
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とは言え、3人の女優の競演が見所ではある。
中谷美紀
地方の新進企業の社長後妻。この人の目力は凄かった。社長夫人特有と思われるイヤミな豪奢さと、過去を抹消しようとする女の怨念と執念にまみれた悪魔の形相を見事に演じ分けていた。
あとはもう少し演出が追いつけばなぁ。
木村多江
物語終盤にクローズアップされる、真相の鍵を握る薄幸の女。
学(教養)のない愚かさの上に裏切りの連続という、生きる希望も見失いそうな薄幸さと、それを何事もなかったように振舞う人の良さと鈍感さを演じ切ってました。この人の演技も素晴らしかった。
方言は人となりを表す演出と思われるが、少々クドいのでは?もともとの地元民でもなかろーに?
広末涼子
新婚1週間後に行方不明になった夫を探す新婚妻。
このひとはミスキャストなのか、または表情に乏しすぎる演出がイカんのか?なんか惜しい。強烈な個性を発散する2人の前では「単に旦那が居なくなっただけ(では、実際はすまないけど。)」の人に思える。役回り的にはしかたないのかなぁ。
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前半、粛々と状況を語り、準備が出来た後半から一気に畳み掛ける。
後半の勢いは良かったが、そのUターンぶりゆえに逆に薄さも少々感じた。
ただし、「昭和32年・戦後13年」という時代背景にある光と闇、〝掴もうとする未来と決別したい過去〟がテーマとなり、物語にうまくのっていたと思う。
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あと、終盤にかかる唐突なBGM「Only You」
吉本張りにコケるとこだった。あれは一体どういう意図なのか?
また、エンディングは悪ふざけかと聴きまごうかの如き中島みゆきの歌声。
こういう映画は悲哀を丸投げしてスパっと切り上げ、歌詞のないテーマソングで
エンドロールを流したい。(洋画的に。)
「歌詞」という日本語が流れると無意識にでもソレが耳に入り、下手すると鑑賞後の印象を持っていかれかねない。
歌詞無き音楽に鑑賞後の心を委ねる。これが余韻ではないかと思うがどうか。
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物語が一つの事件に端を発し拡散。そして整合性を伴って収束する様は、やはり見ごたえが合って面白い。
今回は映画に7点、ちょうちんアンコウ…イヤ、清張大先生に10点ですね。
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